食中毒の疑いがある患者が来院した際、看護師が問診を行うポイントの1つとして、正確かつ迅速さが必要になります。これは、正確な問診を行うことで、患者の診療を優先して行う必要があるか判断するためです。問診に必要な内容は、いつ何を食べたかという食歴や発熱、下痢や嘔吐の症状に加えて、海外渡航歴や周囲でも同様の症状があったかなどが挙げられます。
細菌性食中毒は、ノロウイルスや病原大腸菌などの感染型食中毒と、黄色ブドウ球菌やボツリヌス菌などの毒素型食中毒に大きく分けられます。原因菌の種類により、潜伏期間や症状が異なるのも特徴です。特にボツリヌス菌は、まぶたが重くなる視力障害、息がしにくくなる呼吸障害がみられ、重症化すると生死に関わる可能性があるため、優先的に診療を行わなければいけません。
感染型食中毒の疑いがある患者の場合は、来院しているほかの患者と違う場所で待機させ、使用するトイレなども別々にするように注意しましょう。患者が使用したトイレなどは、菌に有効な消毒薬で清潔に保つことが重要です。
食中毒患者は下痢や嘔吐を繰り返し、脱水症状を起こしている場合もあります。そのため、患者の体の保温と水分補給も大切です。水分補給は少しずつ行い、温度は常温か少し温かいものがいいといわれています。経口補給が不可能な患者の場合は、点滴で治療を行います。食中毒患者が来院した際は、感染拡大しないように努めることも重要です。